Lei を繋げながらみつめたこと /  text : tamai emiko 
ことばをつづることで  うたうことで  なにをてらしだすだろう  おもいださせるだろう





ターコイズの約束


そこから、朝陽は見えますか?波の音は聞こえますか?
植物の匂いはとどいてますか?
遊びにきた人にLeiを繋げてプレゼントしていますか?
毎朝、自分たちのためにサイホン珈琲を淹れてますか?
毎日、訪れる人のためにサイホン珈琲を淹れてますか?
オレンジのワンピースを着ていますか?
1年の半分以上は、裸足で過ごしていますか?
自分が書いた詩に曲をつけてもらえましたか?
ワタの衣は随分繕われていますか?
白い壁の365艘の木の舟は増え続けてますか?
相変わらずじゅず玉のうで輪を繋げては大好きな人に送りつけていますか?
1年に1度はフラダンスを披露していますか?
アトリエには誰かに見てもらうための手縫いの衣がちゃんと毎日1着は飾ってありますか?
ケンカも、し合ってますか?
仲直りもさらに早くなってますか?遅くなってますか?
無駄話の中から愉しいアイディアを見つけるのが今も得意ですか?
宝物のハイビスカス絵を眺めて過ごす1日が、ちゃんともててますか?
家中が貝殻だらけになって相方を困らせていませんか?
ロールケーキを子どもたちに食べてもらってますか?
台所にはたくさんの果物がいつも豊富にありますか?
グレープフルーツの黄色が今も大すきですか?
毎日夕日を誰かと眺めていますか?
マーガレットの花が咲いてますか?
悲しいことが飛んでいくくらいの夢をまだ見つづけていますか?
目尻のシワはどんな風に刻まれてますか?
好きな本は変わっていませんか?
本に線をひくクセもなおっていませんか?
パウは気に入ってますか?
ウクレレのチューニングはもうあってなくとも平気で奏でていますか?
大きなブランケットは何枚になりましたか?
ごはんもパンも相かわらずたくさん食べますか?
ところで、日記はまだつけてますか?
ターコイズの指輪は無くしていませんか?
食べたら直ぐ昼寝したくなるクセはなおっていませんか?
誰かを想い出して悲しくなんてなっていませんか?
ちょっとしたことはツバをつければ治ると信じつづけていますか?
水に挿した植物から根が出ていますか?花まで咲かせることが出来ましたか?
今もまんまるな石を見つけたら連れて帰りたくなりますか?
猫は側に何匹いますか?
いくつになっても、日焼けしていますか?
エカヒ、エルア、エコル、エハー、エリマ、、ハワイ語の数字をいくつまで数えれるようになりましたか?
カラフルな生花の髪飾りは喜びですか?
毎日音楽は流れていますか?
オリジナルの水着は完成しましたか?
語ることや歌うことを忘れてないですよね?
貝殻となり、ということばを忘れずにずっと大事にもちつづけていますか?


それでは、ごきげんよう!100才のわたしへ
















「ハイビスカス 」






母は東北の雪国育ちなのだが、南国のカラフルな花が好きだ。
小さい頃からハイビスカスを見つけては、この花が大好きと見上げては愛しんだ。
自分も同じように太陽に向ってカラッと咲く花に惹かれたのは、底抜けに明るいあたたかさが
いつも側にあって、その母性を南国の花に重ねているんだなと大人になって気づいた。
そしてもうひとつ気づいたことは、光りと闇の深まりこそが輝きを増すということ。


火曜日はたった数時間でもいいから母と過ごす時間をもちたいと決めて何年経ったことだろう。
そう決めても時々じたばたと走り回っているので、月に数回しか会えないこともしばしあるのだけれど。
そしてその火曜日に何をしているかと言うと、母と絵を描くことをはじめた。
母がひとつ、またひとつ、またひとつ、時おり、ふとものごとを忘れてしまうようになったから、
いつかじぶんのことも忘れてしまうんじゃないか、、と切なくなることもあったが、
忘れていくのではなくて、宝物箱に大事にしまってゆく作業をはじめたのかもしれない、、
そんな風に思うようにしたら、もう安心できた。
母との宝物のような時間をひとつ又ひとつと増やせばいいことなのだと思えた。
そうだ、母と一緒に絵を描こう!と思いついた時は自分をほめてあげたいほどだった。
幼い時代アイディアマンの母と時おり図工や工作を一緒に愉しんだことは、
愉快を自分で作る時間としてちゃんと自分の中に根付いていて、これも母が教えてくれたことなのだけど、
お互い歳を重ね、また再び一緒に笑いほほ笑み合う時間がそっと生まれた。
幼き頃、安心して、ただただ包まれていたような時間が、
今は、お互いを包み合う尊さとしてはぐくまれ、愛おしさが深まるばかり。
ねえ、お母さん!100枚描けたら二人展して、みんなに見てもらおうよ!なんて調子のいい夢をわいわいと吐き散らしてみたり、
こんなお絵描きを人様に見てもらうなんて、、と恐縮しながらも鼻歌まじりに描いていたり、
何を描きたかったんだったけ〜ととぼけてみせたり、歌ったり、空想したり、約束を交わしたり、
カラフルな輝きのあるものを見つけては絵の題材にした。
今、同じ風景を眺めている。
それで又ひとつ気づきはじめたことがあって、その眼差しは今にはじまったことではなかったということ。
記憶を辿れば、ずっとずっと母を憧れ、同じ風景を追いかけ眺めていたんだということ。


南国のカラフルな花が私も大好きでたまらない。
そのカラッと明るい眼差しを想像しながら、
ハイビスカスの絵を今日も一緒に横に並んで描いている。










八月の水 no.4 静かな生活
text tamaiemiko 2015.12





















名もなき小さな星に辿りついた


裸足になった


肌は太陽となり


手にはワイルドフラワーを握る


髪が風になった


手首には祈りの貝殻のビーズが約束されている


種や実をLeiにした


海を越え飛んできた大きな鳥が羽根をおとした


羽根を髪にさした


銀白に踊る遥か雲から雨が降った


雨は海のごとくやさしかった


雨は頭上からまっすぐ心身を流れ足の指を浸した


爪を潤した指でしずくの草をつまんだ


草は青々しすぎるほどの真新しい匂いがした


スイングするように指の先で草をからませた


草の筋は星の糸となった


太陽の陽と椰子の皮を繋ぎ合わせた


月の明かりとシダの葉を繋ぎ合わせた


髪飾りの羽根も繋ぎ合わせた


そして口笛をふいた


そのことを知れば強くなれた


繋ぎ合わさったそれらをまとう


大地でまとう


風に踊る


逆らうことなくなびいている


ままになびいている










so sea song / 2018
























トタンにぶら下がる麦わら帽


あいまい


ロールケーキとチーズケーキ


八朔の花の匂い


星野道夫の本


知らぬ場所から届く手紙


しのび込むアイビー


折り紙の舟


業務用の冷蔵庫のゴーゴーという音


鉄の灰皿と煙草の匂い


ごつごつした土の器


水草


話したい人


厚切りの食パン


羽を落とす


白いテント


word


旅先から持ちかえった珊瑚


永井さんの古いギター


大きな南国の種


木陰の机


ニカッと笑う笑顔


テンコトースト


机の痕跡


風木


大きな洋書


欠けた角砂糖


がたつく椅子


9匹の金魚


雨の匂い


草の道


大きな貝殻


小さな貝殻


夕暮れ三日月


両手いっぱいの檸檬


ひび割れた床


ころがったもの


息をすう、息をはく


いつもの顔ぶれ


弦をつま弾く


並んだ自転車


羽を拾う


気持ちがふくらむ


月明かり


貝殻がかさなり合う音


うたた寝


通りすぎる蝶


笑い声


古木で作った舟


小さな足踏みオルガン


蝉の大群


泣けてきた人


栴檀の枝のレイ


草の上に立つ


手に包む器


風の声


ニールヤング


旅人の本


挨拶を交わす


摘んだ花


スポンジと生クリーム


後ろ姿


開け放された戸


飛び込むくまん蜂


偶然の巡り合わせ


切り絵のサイホン


本の続きを読む


蜘蛛の巣


裏庭


揺れる白い布


漂流物


壁の釘穴


畑からの笑顔


山脈の切り絵


小窓から眺める風景


石のペーパーウエイト


Play with ships


気配を消す


大きな姿見


まち合わせ


青い草


手紙を書く


初夏


LORと名付けたバンジョーウクレレ


ホワイトセージ


土の匂い


nagai hiroshiの本


裸電球


灯び


旅をする木


蚊取り線香


ウクレレの音


ぶら下がる花器に飾られた草


雨の音


浮かび上がる影


湿った匂い


ひらいた気持ち


かくさない言葉


待つあいだ


風の通り道


手帳に綴る


朝の光


豆乳バナナジュース


貝殻となり


年老いた桜の木


隣人の気配


古い木の舟と草のレイ


サイホン珈琲


ぶっきらぼうな男と大きな女
















2014 『八月の水』にて





















大きな足の指をつきだして


ひざを小さく三角に折りまげて



皮靴をほおりだし



浅くしずんだソファの中で



うたた寝をしている





浅黒く陽に焼けた長い足を



小さく三角に折りまげて



風が颯爽通りぬける場所で



眠っている





白いカーテンは向こうへ向こうへとつづけていて



カランと溶けた氷が



グラスの下でまあるく水たまりをつくりはじめた





大きな足の指をつきだして



ひざを小さく三角に折りまげて



皮靴をほおりだし



浅くしずんだソファの中で



うたた寝をしている







「うたた寝」














しずくの種






突然 こどもみたいに 泣き出して


うれしいんだよ


と言った


そのしゅんかん


弾けて飛び散った しずくの種は


葉の上で踊り 海を越え 丘を越え


星となった


しずくの種を


見上げて 辿れば


もう迷うことなど ひとつもない











今日のひかり  初夏のよう


やってくるな 


待ちわびる


こっちにも そっちにも あっちにも 


麦わら


ゆれる ゆれてる


腕まくり 足首 首もと 涼しく


言葉なんて てんで でやしないや


でてくるのは メロディー 風にふれるメロディー




あー 昼寝したい




2014.5「鼻のあたま、日焼け」













丘の葵いレモン、口の中がきゅんとして、ざくざくとスライスしたら、逆剝けの指に染みて


茶色いお砂糖をスプーンにすくって、レモンのお砂糖漬けを作る


レモンにお砂糖がゆっくり染み込んでゆく様子を、そっと眺めてみたらどうだろう


粒の中に甘いお砂糖がどんどん溶けてって、喉の奥が、酸っぱいから甘いという気持ちに変わっていったら


カップにスライスレモンをひとつ、ふたつ、みっつつまんで入れて


やかんに水をくんで、湯が湧くのをじっと待って、シュッシュぼこぼこと音が聞こえてきたら


レモンがそっと待っているカップに、ゆっくりと湯をそそぐ


それを、ひとくち飲むことから、はじめてみてほしい


ゆっくりとでいいからね


体の中に、すっぱくて、あまくて、でも最後に感じるのは、きっとあたたまったお腹の中で


手をあててみると、何か、お腹が話しかけてくるような音をたててくるかもしれない


体の中は、レモンの息でいっぱいになるはずで


ため息も、のぼせた湯気も、手の中の汗も、涙までも


レモンの匂いに変わってゆくかもしれない


そしたら、大きく深呼吸をすることを思い出させてくれるから


たった3回でいいからね


大きく深呼吸してみてほしい


何を思い出したのか、、


また、ゆっくり聞かせてほしい








2013 .11 葵いレモンの、たった一粒のことなんだよ」



















ながいさん、わたしね、
と、ふとした瞬間
立ちどまって
語りかけることのできる
この時を
たった数秒、数分のこの時を
わたしに与えてくれて
ありがとう
たった一瞬のこのときに
自分の帆が
あるがままの風に
なびく




2012.2 「ウインドウ」










Big Boat    TEXT tamai emiko 2011.7


ごちゃごちゃ いうな とりあえず のっとけ
やってきた ふねに のっとけ
おれが わらえば おまえも わらう
おまえが おどれば おれは うたう
ごちゃごちゃ いうな とりあえず のっとけ
じぶんが どうしたいか だって?
ほんとは ぜんぶ わかってんだろ?
じゆうや じゅんすいを しんじたい きもち
びんぼうでさあ〜 という ぐちも 
すっぱい れもんを ひとかじり
つらいのか? すっぱいのか?
なみだなんて どっちにだって ころがるさ
じんせいなんて あっというまだな と
じいさんが いってたよ


こころが ぶるっと ふるえて
だいすきなひとに だいすきだと もういったかい?
ぼやぼや するな
ありがとうを だしおしみするなよ
いつだって おなじ まなざしのなかでいるのは
そう かんたんなことではないけれど
おいらの なかに やどる おいらの こえ
だいじなことは もう わかってんだろ?
ひがしに ひがのぼって
おおきな はが ゆれて
からふるな はなが ひらこうとしたとき
いざ しゅっぱつ だぜ

かっこばかりつけて 
かっこわるい やつだぜ
ごちゃごちゃ いうな とりあえず のっとけ
でっかい にじを みあげたくないのかい
でっかい あさひを みにいこう
でっかい ゆうひを みにいこう
でっかい ほしくずが こぼれたら
もう ことばになんて しないぜ
わかってるだろ つきあかりの なか


ごちゃごちゃ いうな とりあえず のっとけ
やってきた ふねに のっとけ
おれが わらえば おまえも わらう
おまえが わらえば おれは おおわらいするから


Big Boat Big Boat Big Boat、、、、、、
ろーらら ろーらら ろーらら、、、
ほほほ〜 らいらい、、、










よし、


この丘の実や葉や小枝をビーズにして繋げてレイをつくろう


繋げていったらいつか100のレイができるはずだ


そしたらそのレイにぴったりの100のサンドレスをつくろう


きっとそのドレスを着た人は踊りだすだろう


100の踊りだした人に、だれかが花をさしだすだろう


花をもらった100の人はうれしくなって、ラララと歌いだすだろう


ラララの次に、約束を交わすような大事なことばをだれかがつづりだすだろう


そしたら100のことばが歌になったとき、だれかがウクレレをポロンとするだろう


そして100のメロディーが流れはじめるだろう


奏でる100のメロディーは、雨音となり樹々の揺らぎとなり風のささやきとなるだろう


この丘の一番大きな木のてっぺんで鳥が元気に鳴いているあいだ


その大木の根元でレイを繋げつづけることにしよう


樹々からこぼれる実を拾いあつめながら


今日


そう思ったのだった




『Lei』 TEXT tamaiemiko








たとえ 地球が あした 星屑になっても  


たとえ 地球が あした 星屑になっても  


また ふたたび 雫となり  


この丘で 奏でよう  


月光に たたずむ花 草海 ゆらぎ  


メロディー 奏でる みつぶの雫  


たとえ 地球が あした 星屑になっても  

























目の前の大きな樹を眺めていたら
雨が降りだした
今 あなたも雨に気づいていることでしょう
あ、、雨かと思っていることでしょう


遠くから雷が鳴りだして
今 あなたも雷の光る方を見上げていることでしょう


大きなせんだんの樹に 雷が落ちやしないかと 心配しながら
光る空を 見上げています


白いトタンの雫がぽつんと落ちる頃
やってくる誰かを待っている




通り過ぎる雨 途端に鳴きだす蝉
今 あなたも鳴きだした蝉に気づいていることでしょう
大きな樹の下では 1000匹もの蝉が鳴きだして
一瞬に吹いた大きな風が 1000粒もの雫を落とした


そんとき おおげさにはしゃいで 水たまりに足をすべらせて
あ〜あとはきながら 
やってくる誰かを待っている




目の前の大きな樹を眺めていたら
でっかい雲が 顔をだした






















この栴檀の木が大きくなったら
小さなオルガンを木陰にはこんで
二枝にわかれた幹と幹との間に
ウクレレを抱いた
あなたが座って
わたしはおぼつかない指で
けんばんを弾ませます


いっしょに奏でましょう
うたいましょう




お調子づいてきた
あなたのウクレレの終わりの合図は
わたしがかぶっている麦わら帽子を
あなたの頭にかぶせたら
これでエンドといたしましょう
なごりおしくも
また明日と


笑いましょう
うたいましょう




2010 8
















この丘の上には、海の家と、山の家が、ある




丘の上の、海の家には、まだ海はなく
丘の上の、山の家には、まだ山はない


けれど、


悠々、風にまかせ、姿となる貝がらを、見つけることができる
側にある大木は、ざらざらとした樹皮をまとい、太くどっしりとしていて、
幹ほどの枝は、遠くまで青々させている


根元は、さらに丘の大地を四方に張り広げて、
すべてを強くしずかに包みこんでいるようだ
樹々が揺れ触れ合う音は、
波の音と同じだということに、もう気づいていて、
空の雲は、手を伸ばせば、すぐに手のとどく場所にあった




まだ海はなくとも、海の人がいる
山はなくとも、山の人がいる




海の人が行き交い
山の人が行き交う

2009/8














草の生い茂る小道を


大またで


歩いてゆく


雨は弱まる気配がない


腕の中の山盛りのゴーヤが飛び出した


雨がつくる水皿に


彩りよく


盛られた


ゴーヤ








巨大な茎から大きな葉をひろげ
太い根が、大地をしめあげる
とげのある葉
はびこり守りを固めた、このアザミは
容易に寄せつけようとはしなかった
離れて眺めていると
神秘的な調べが聞こえて来た
ついて来るように誘っているのだろうか
もしついて行ったのであれば
待ちうけているのはなんなのだろう
すばらしい発見なのか
おそろしい危険なのか


小さな庭でわたしは蟻になって大冒険する










丘のいちばんでっかい木に




ジャンプして飛びついた




1000匹のセミが




四方八方に




飛び散った




セミジャングル